皆と語らうサロンのある家

地下1階、地上2階の住宅。防火地域内のため「木造軸組み耐火建築物」として設計した住宅です。
木造耐火建築物はRC造などに比べるとコスト削減につながるため、現在注目されている工法です。

3つのこだわり

地域の中学校の先生がリタイヤされるのを機に新築された住宅です。
お施主さまのこだわりは大きく3つ。

  • とにかく海を大パノラマで見たい
  • みんなが来たくなる家にしたい
  • コストはかけずに作りたい

まず2階は海に向かって大きな開口部を持つスペースを作りました、ここで海を見ながら趣味のタペストリー制作をされます。ここには、思い切って大開口のサッシを用いてご満足頂くようしました。

玄関の無い家!?

「皆が来たくなる家」の工夫は玄関が無いということです。

施主様のお宅の周りにはたくさんの教え子たちが住んでいます。そんな教え子たちが、いつでも気兼ねなく訪問することができるようにと、なんと、玄関の無い家なのです!
勿論、玄関ドアはあるのですが、ドアを開けるとそこは土間のダイニングキッチンという仕掛け。靴を脱ぐこともなく、すぐにおしゃべりが始まります。

そもそも、玄関とは「家に上げる人と上げない人」を選別するために生まれたものです。「どなたでも何時でもいらっしゃい」という想いなら、面積の無駄なのかもしれません(笑)

「ローコスト=安っぽい」ではないということ

「ローコスト」については、いろいろなものをそぎ落として実現しています。
玄関の面積から、インテリア的には天井もなく2階の床板が見えています。照明器具も裸電球。という風に。
では、切り詰めてばかりかというと、吹き抜けのある、大きな空間ですから居心地の良い温熱環境づくりには良いものを積極的に取り組んでいます。大きな窓は、断熱性の高い木製サッシを使用しています、おまけにその大きさから住宅用では間に合わずビル用です。

ここで「つるつるピカピカ」を追い求めながらコストを圧縮する場合、たとえば○○風(石張り風外壁とか)になりキッチュになってきます。
施主様のこだわりは、本物を使うということが前提でした。豪邸の豊かさではなく、ログハウスも豊かですがその豊かさは違うものだということを考えながら、判断基準を慎重にコントロールしました。結果は、施主様ならではの、素敵な建物になったと感じています。

広がる交流の輪

施主様の自由なライフスタイルがこの家を支え、使いこなしてくださっています。竣工から10年ですが、今年、裏庭に新たに「茶室」を作られました。交流の輪はさらに広がっていきます。

施主様の声

ご意見・ご感想は? 設計の途中で、同時に建設される、お隣と海が見えるかで話をしたとき、私は海が見たくてお隣から海が見えなくなることはお構いなしに「前え、前え」と考えていました。
その時、清水さんが「両方の家から、海が見えればそれが一番いい、一緒に住んでいくんだから」と言って、両方の家から見えるよう、配置をやり直してくれました。
「隣とも一緒に住む?」そうなんですね、おかげで今はお隣のお嬢ちゃんたちが、しょっちゅう遊びに来てくれます。あの時、お隣の眺望を私が塞いでいたら、こんな気持ちで住めなかった気がします。
私に、たくさんお金があったら、また頼むんですけどね(笑) もう10年以上たちますが、名作だなーと思います。